Session | 本多・伊藤・松下 〈後編〉

Interviewer / Date
- 北見 かほり / 2021.07
前編に続き —
インターフェイスは、真心だと思う
— そんな3役が集まって「インターフェイスを作る会社」が成り立っているわけですが、「インターフェイスを作る」ってなんだと思いますか?「インターフェイス」ってなんなんでしょう?

伊藤
うーん、いいデザインといいインターフェイスって違うじゃないですか。いつも、最後に「やっぱりここの文字もう少し大きくしたい」とかの調整が起きたりするんですけど、それをしていくと、結果的にデザインが破綻してしまったりして、難しいなあと思います。
本多
そうですね。「いい」の基準も色々ありますからね。
松下
場合によりますよね。インターフェイスって、ユーザーと情報の間に立つものを表すと思うんですけど、例えばユーザーが高年齢層だったら、インターフェイスの役割としては「文字が大きいこと」が正解になるだろうし、はたまたビジュアルのインパクトを与えたいっていうサイトだったら、違う部分が正解になることもあるし。
本多
うんうん。
松下
それを見定めるには、企画段階で、そのサイトがどんなストーリーを描きたいのか考えて、それに合わせたルールや基準を決めることが大事だなと思ってます。それさえ決まれば、後から細かい修正があってもそこと照らし合わせて整合性を取っていけるし。逆にルールとかがない状態で進めると、どこにも拠り所のないものが生まれてしまって、デザインや機能に対して「これ本当に意味ある?」というモヤモヤが生まれてしまうんですよね。
本多
全体のレールをどう敷くかをディレクターが考えた上で、デザイナーやエンジニアにどう動いてもらうか、っていう感じですね。
松下
そうですね。だから、クライアントからの要望をデザイナーやエンジニアに伝える時は、「こういう基準や理由があるから」というのを添えるようにしています。そういう意味だと私もインターフェイスになっているなという気持ちがありますね。結構ディレクター的な目線からの意見かもしれないけど。
— デザイナー的にはどうですか?
本多
さっきのよしこさんの、デザインとインターフェイスの話で言うと、私はわりと「デザイン」という言葉を気をつけて使うようにしてますね。見た目の話のときは、見た目って言うとか、動きやユーザビリティの話になったら、その言葉を使うとか。「デザイン」ってみんな色々なイメージを持っているし、「いい」っていうと色んな方向の「いい」が出てきてしまうので、作るものの方向を絞る時にはなるべく使わないようにしています。
伊藤
なるほど。
本多
インターフェイスに関しては、「何かと何かが接したときに、その周りでどんな影響が起きるか」を考えることがインターフェイス作りかなと思っています。例えばユーザーがアプリに触れたときに、見た目やシステムに何が起きるかとか。あとは、人と人が接した時、例えばディレクターとクライアントが話した時に、誰がどんな捉え方をするか、とかですね。それをどこまで想像できるかが、インターフェイス作りなのかもなあって個人的には思っています。
松下
さっきの私の「私もインターフェイス」っていうのはそういうことですね。
本多
そうそう。経験値のあるディレクターって、多分そこの想像の解像度が高いんだろうなって思います。
— よしこさんは、エンジニア的にはどうですか?
伊藤
エンジニア的には、インターフェイスは真心だと思ってます。例えばメールフォームを例にすると、半角しか入らないフォームに全角の文字を入れて送信ボタンを押して、その後に「半角のみです」っていうエラーが表示されるのでも、機能的にはOKなんですよね。でも、体験としては良くなくて、もっと気持ちよく誘導してあげたいなと思うんです。
本多
うんうん。
伊藤
かといって、ユーザーのできることをガチガチに制限することはしたくないし。ユーザの行動をできるだけ制限せずに、一方で、私たちが提供する道はできるだけ舗装したいっていう感じですかね。
本多
舗装っていい言葉出たなあ。
伊藤
歩く人には自由に歩いて欲しいんだけど、でもその道はきっちり安全に舗装されてなきゃいけないっていうのが、実装する時にいつも考えていることですね。だから、ヒューマンエラーにはすごく気を遣っています。自分たちの世代が普通に使えるような機能や見た目も、お年寄りやネットに不慣れな人には分からないケースの方が多いだろうと考えて、結構しっかり舗装します。
松下
なるほどなあ。
伊藤
ただ、さっき松下さんが言っていたような、ユーザーが受けるインパクトの部分は、舗装しすぎると損なわれてしまうというか、勢いが失われてしまう気がしていて、そこの塩梅が難しいですね。
本多
綺麗な道すぎて逆に風景が楽しめないみたいなことですかね。
伊藤
そうそう、私たちはどっちかというと風景を楽しんで欲しいんですよね。だから、足元のことなんて気にして欲しくない。何も気にせずに自由に歩けて、かつ、風景も楽しめるようにしたいというのが、実装をするときに考えるインターフェイスだなって思います。
松下
おもしろいですね。みんな考えは一貫はしていると思うんですけど、でも業種によって細かく見ていくと、それぞれのテリトリーでの考え方があるんだなあと、聞いてて楽しくなっちゃいました。
本多
ね。
松下
なんかすごい楽しかった。
本多
いいなあ。
妥協せずに頑張れた時に、生きてる!って思う
— いいですね。ここからは、会社について聞きたいなと思うのですが、ハイジって、客観的に見てどんな会社だと思いますか?
本多
私ずっとハイジにいるからなあ。
— 松下さんとよしこさんはどうですか?

松下
個人の意思を大事にしてくれている感じはすごくします。ただ働け!っていう感じではなくて、どう思うの?ってちゃんと意見を聞いてくれる会社ですね。どう思うのか問い詰められることは、苦しくもあり、楽しいです。
伊藤
私は、ものづくりの本質ができているなっていう感じがします。ハイジの人たちって、ものを作ることに対してとても貪欲で真摯なんですよね。上下関係に縛られて言うことを変えたり、納期に合わせて「このくらいで終わらせるか」と妥協したり、みたいなことがあんまりなくて。だから、たまにキツいことを言われたりもするんですけど笑、それも含めてひたむきでいいなと思います。
松下
すごくわかる〜。
本多
上下関係で作るものが悪くなるならチームでやる意味ないですもんね。
伊藤
あと、クオリティを上げるためだったら、リリース直前でも「やっぱりこっちがいいな」という方向転換をしたりもしますよね。大きな変更があると、えー!あんなにやったのに!って思うけど、リリースしてみるとたしかに良くなっていて、自分でも満足できたりして。
松下
分かります。妥協しないことの大変さももちろんありますけど、でも、妥協しないものが出来上がったときの達成感を味わうと、生きてる!って思えるんですよね。これは大きい会社にいたときには味わえなかった感覚だなと思います。
本多
まあ大きい会社が全部そう(妥協している)ってわけではないとは思うんですけどね。
松下
もちろんそうですね。でもこれは、一人一人がある程度の責任を持って働いている環境だからこそ感じられる感覚かなと思ってます。前職の時は、自分の役割以上のことはやりたくてもできないし、この「自分がやらないとヤバイ!」みたいなスリルはなかったので。
伊藤
うんうん。
松下
自力でやっているとたまにトラブルが起きることもあるんですけど、それをどうやって対処しよう?って考えたり、うまく解決できたりした時のスリル感も含めて、楽しさにつながってるんだと思います。
本多
なるほどなあ。
伊藤
「安全だけど、与えられた以上のことはできない」みたいな環境にいたところからハイジを見ると、なんかこう、うーん、なんていうんだろうな…。
本多
刺激的?
伊藤・松下
そう刺激的!
本多
ははは笑
伊藤
しがらみのないところでやるものづくりって、こんなに楽しいんだなって思います。
松下
そう、楽しいし、こんなにハラハラヒリヒリするんだ!って。
伊藤
ハラハラヒリヒリするといいものができるって知らなかったんですよ我々は!
本多
圧がすごい!笑
伊藤
「もうやらなくていいよ」って言われたときの自分の力の出しきれなさを昔は抱えていたけど、ハイジに来てみたら、もう力を出し切るとかではない…むしろ出し切りすぎて、これ以上引き出しないんですけど、みたいなことになってますね。ちゃんと求められている感じがします。
松下
そう、「できないなら他に頼むからいいよ」って切るんじゃなくて、「やってみな」って任せてくれる感じがあるじゃないですか。そうしたら自ずと責任感しか出ないし、そうやって必要以上に与えられる責任に負けないように、むしろ「思っている以上の成果を出してやる!」みたいな、挑んでる感が楽しいですね。
ハイジには、人間図書館みたいになって欲しい
— では、そんなハイジには、この先どうなっていって欲しいと思いますか?

本多
うーん、人は増えるんじゃないかなと思ってますね。個人的には幅がもっと広がって欲しいなと思っていて、「インターフェイス」って言ってるけど、ウェブやアプリに収まるのはもったいないし、もっと色んな分野の人を集めて、それを受け入れられる会社になったら面白いなと思います。
伊藤
ハイジという「会社」ではなくて、何か自分の特技がある人たちが集まって仕事をしている場所、「個人」の集まりであって欲しいです。属人化が危うさになることもあるけど、それは多分ハイジでは強みになると思うし。
松下
そうですね。あとは、人が増えるとその分ルールも少なからず増えると思うんですけど、ルールは増えすぎないように、自主的に動ける人たちの集まりであって欲しいっていう願いはあります。
本多
うんうん。皆さんのインタビューでも言ってたと思うんですけど、ハイジって、個性的で、自由が好きな人が多いと思うんですよ。そういう人たちがルールに縛られると途端に狭苦しくなってしまうので、それは避けたいですね。
伊藤
あと、他人の個性を否定しない空気も変わらずにいて欲しいですね。私入社した頃、WEBのことは分からないしとりあえずできることをやろうと思ってコーヒーを淹れたりご飯を作ったりしてみんなに振る舞っていたんですけど、誰にも仕事しろよと怒られなかったし…。
本多
それは誰も怒らない。嬉しさしかない笑
松下
みんな、他人にあんまり干渉しないというか、「その人が今できる最大のことをやっているんだろうな」という前提認識を持っているからこそ、好きなことをやっていても、たとえ未熟でも、任せてくれるんだと思います。
本多
でもそれでいうと、「シビアさ」は大事にしたいなと思います。自分に対しても、仲間に対しても、「別に甘えられる相手ってわけじゃないぞ」というシビアさは必要ですね。
松下
そこはもちろんそうですね。自分がやれることを100%やろうとしているなら、存在することを許してくれるっていう空気感だなってずっと思ってます。逆に、それを全うできない人は向かないんじゃないかな。
伊藤
ハイジって、「やりたいことがある人たち」が集まっている会社だと思うんです。多分私や松下さんが前にいた会社って、仕事と人生は別で考えている人が多かったと思うんですよね。ハイジはそうじゃなくて、人生がそのまま集まってできている会社だなって感じがします。
松下
あ〜うんうん。
伊藤
そういう意味でもシビアさがあるというか、自分がひたむきにやれることがない人は、きっとここには向いていないと思います。自分をぶつけていく必要があるし、会社としては、これからもそれを許容できる集団でありたいです。
本多
ちゃんと自分からぶつかっていこうとしてる人に対しては何も言うことはないですよね。
松下
むしろ、ぶつけてみたら、ちゃんとそこに向かえるように案件の中で挑戦させてもらえたりもしますしね。
伊藤
人を紹介してもらえることもあるし…インターフェイスですね!
本多
ははは。
松下
そういう良さは変わらずに、幅が広がって行けたらいいですね。
伊藤
うん、いろんな人生をぶつけて欲しいな。なんか、人間図書館みたいになって欲しいです。
本多
そうですね、人生のぶつかり合い、まさにそれですね。



