ハイジ・インターフェイス10周年

Member:
- ハイジ・インターフェイス一同
10周年のご挨拶
みなさま、この2020年は大変な思いをして過ごされたかと思います。今もなおその渦中にあるなかで、会社としてどのような言葉を選び、発するかは非常にためらわれるものがあります。しかしながら私たちなりに向き合ったこの一年を振り返り記すことで、直接お伝えすることが難しくなってしまった、今年を締めるご挨拶に代えたいと思います。
ハイジ・インターフェイスは、実は今年1月に10周年を迎えていました。同時期に路面開口のイベントスペースを備えた代々木上原のビルに移転し、今年はいろいろと楽しいことができればと企画をしておりました。しかしまもなく緊急事態宣言となり、様子を伺っているうちにイベントはおろか、発表するタイミングも見失ったまま時間が過ぎていきました。
周囲ではオフィスを小規模化したりフルリモート化を宣言して手放すといった話が出てくる中で、私たちも改めて会社のあり方について考えさせられました。元々リモートワークやオフィスの価値についての議論はハイジ・インターフェイスにおいて珍しいことではなく、これまでにも何度も検討や試験を重ね、慎重かつ柔軟に私たちらしい形を探して来ました。その判断基準には常に効率だけではない要素があったように思います。
2011年、震災が起きた日のことをよく覚えています。ハイジ・インターフェイスが初めて代々木上原に移転して来て半年が経った頃でした。あの日は社員もほとんどが帰れず、帰宅難民となっている知人たちにオフィスを解放し、渋谷の量販店で毛布やトランプなどを買って来て一夜を乗り切りました。翌週からは会社として初めてのフルリモートワークを実施して、特に支障が出なかったと記憶しています。
今回の緊急事態宣言の前後ではその当時よりも長い期間フルリモートワークを実施しました。作業的な効率面ではあまり支障が出ない一方で、メンタルケアのしづらさから無理をし過ぎないよう、平日に休んでいい日を設けたりしてバランスを取っていました。緊急事態宣言が明けてからは、出社する妥当性や集まる意味を模索しながら少しずつ回数を増やし、現在は週の半分程度の出社が基本となっております。
リモートワークを否定するつもりはなく、現に7月に設立した子会社「ASTRSK」ではフルリモートワークが前提です。その強みを知っていてもオフィスに集まることにこだわるのは、実空間を共にしないとできない「間」や「空気」の共有、そして居場所としての会社の機能を重視しているからだと思います。
リモートでのコミュニケーションは、どんなに使いやすい技術が増えたと言っても、実空間に比べればまだ圧倒的に情報が欠落しています。リモートで伝わりづらい「間」や「空気」は、人と人の間にある重要なインターフェイスです。ハイジ・インターフェイスにおいてそれは本質に触れる要素であり、活動を続ける上で最重要とも言えるものです。もしこのままオフィスがフル活用できない状況が続いたとしても、私たちがそれを手放して、積極的にフルリモートに転じるようなことはないでしょう。
一体全体、来年はどのような年になるのでしょうか。まだ誰も正確なことは分かりません。ただ少しずつでも元の生活が戻ってくることを祈るばかりです。今年実施することは断念しましたが、来年状況が変わったら改めて10周年のイベントを実施したいと思っています。素敵な空間にみなさんをお招きして、お酒や会話を楽しみたい。ただそれだけの思いです。気兼ねなくできるようになったら開催するので、是非楽しみにしていてください。
この10年間、インターフェイスを社名に掲げ、その専門企業として走り続けてきました。今回の状況にあたって改めてこの先を考えた時、キーワードとして出てきたのは「普遍性」や「本質」といった言葉でした。そこで60年以上続く制作会社の日本デザインセンターにデザインを依頼し、イベントが実施できなくなった代わりにサイトリニューアルの計画を進めてきました。結果はもちろんのこと、プロセスにおいてもとても充実したものになったと思います。
最後になりますがこの10年、仕事や時間を私たちと共にしてくださったみなさまに、改めて御礼申し上げます。私たちはこれからも、変わらず進んで参ります。また同じ空間でみなさんと会える日を願って。