15周年役員鼎談 〈前編〉

Interviewer / Date
- 北見 かほり / 2025.05
2025年に創立15周年を迎えたハイジ・インターフェイス。その節目として、役員の蒲澤、美馬、長尾の3名での鼎談を行いました。会社のこれまでの歩みと、これからの未来についてお話しします。
— まずはみなさんのお名前と役職や役回りを教えてくだい。
蒲澤
代表の蒲澤です。基本的には経営全般を担当していますが現場でのお客さんとの仕事もやっていて、プロデューサーとして様々なプロジェクトに関わっています。
美馬
取締役CXOの美馬です。プロジェクトのUXに関することや、会社のプロモーションをやっています。あとは子会社の「アスタリスク」でUXデザインやプロデューサー、マネジメントといった部分を担当しています。
長尾
取締役COOの長尾です。制作チーム全般のマネジメントとフォローアップをしています。案件によってプロデューサーだったりディレクターとして入ったりする立ち位置です。
それぞれの15年間
— 今年15周年を迎えて、まずは率直な今の感想を教えてください。

美馬
10周年のタイミングで今のオフィスに引っ越したので「10周年は盛大にやるぞ」と思っていたんですが、ちょうどコロナの緊急事態宣言が出てしまい「この先どうなるんだ」という状況になりました。それが明ける頃には生成AIが出てきて、また違う意味で「この先どうなるんだ」と思っているうちに15周年になっていた感じですね。
蒲澤
10周年でコロナがあって、今はAIの時代が来て業界自体の変化も大きいので、自分の想像していたことは全部意味がなくなったと思っていて。なので「あ、15年経ったんだ、大変だったな」っていうのが率直な感想です。この先を考えても不確定要素がすごく多い世の中なので「これまで15周年やってきたぞ」っていう自信があるような状況ではなくて、まだ1年目みたいな変な気持ちがあります。
長尾
早かったなとは思いますね。私はあまり10周年は意識していなかったんですが、やっぱりコロナ前とコロナ以降では印象が違いますね。コロナ以前は自分で能動的に考えて色々やっていく感じだったのが、コロナ以降は世の中の変化についていくっていう感覚になってるなと思っていて。蒲澤も言ってる通り、未来予測が不可能な時代になってきたっていうのはすごく実感としてありますね。15年振り返ってみるとそういう大きな変化があったかなと思ってます。
— 起業あるいは入社された当時、どんな思いを抱いていたか覚えていますか?
蒲澤
僕は美馬に誘われて会社を作ったので、何も考えてなかったですね(笑)
でも前の会社ではやれなかったような「組織づくり」をやってみたくて、自分たちが働きやすい会社にしたいみたいな気持ちはありました。
美馬
「インターフェイス」っていうのを社名につけて良かったなと思います。最初に「ハイジ」っていう名前を考えて、それだけだと分かりにくいので「インターフェイス」をつけたんですが、「この会社で何をやっていくのか」を考えた時に、将来的にもインターフェイスを作り続けていくだろうなと思えたので、そう名付けました。
蒲澤と同じで僕も組織作りをやってみたい思いはありました。当時、会社は家以上に時間を過ごす場所でもあったので、その場所が社員の人生にどう影響するのかというのはすごく考えていましたね。中からも外からも「いい会社」って言われる組織を作れたらいいなと思っていました。
長尾
私は前職が映像系の会社で結構「下積み」という感じで大変だったので、「もうちょっと楽なところに転職したいな」くらいで…(笑)
映像や技術寄りのことに興味があったので、そういう分野がやれそうだなと明るい未来を感じて転職した記憶はありますね。前職は分業されたチームで1つのものを作る仕事だったのですが、ハイジでは1人ずつに大きな裁量が与えられる環境だったので、楽しくやりがいを感じながらやれてたかなと思います。
— 当時の思いと今の気持ちを比べると、どんな変化を感じますか?

蒲澤
組織作りの話で言うと、当時「みんなが働きやすいようにする」みたいな働き方はまだ結構珍しかったと思うんですが、最近ではそうでもなくなった感じはしますね。真似され始めたというか…。
美馬
別に僕らが外に向けて発信していたわけじゃないけど、社会が追いついてきた部分はあるね。
蒲澤
あと一番の変化はコロナ禍でリモートワークが始まったことですね。世の中的にはまた出社した方がいいみたいな回帰も起きていて、(リモートワークも出社の復活も)割と早めに対応をして来れたかなと思います。働き方への考え方は最初から変わっていないですね。
それと今は、「ちゃんとしなきゃ」っていう気持ちがとてもあります。最初は経営のことも何も分からずに模索してきたのが、15年かけて「会社ってこういうふうにやるんだ」とだんだん分かってきました。だから「ちゃんとしなきゃな」と。これは15年ですごく変わった部分です。
美馬
そうですね。あとは率直に「続いてよかったな」と思いますね。コロナの影響はもちろん受けてるんだけど、さっき話したような働き方の話とか、制作を少人数で一気通貫でやり切るっていう体制とかは根本的には変わっていなくて。「変われてない」みたいな言い方もできるかもしれないですけど、変わらずに続けて来れているのは良いことだと思います。
「AIとの共存」と「クライアントとの伴走」の両立
— 長尾さんは社員として入社して現在取締役という立場ですが、どんな変化を感じますか?

長尾
会社の外側の話になりますが、15年前はスマートフォンも出てきたばかりで業界的にもWebの技術が浸透し始めた頃だったので(ハイジのような会社の)市場的な立場が上向いてる時代だったと思います。そこに対する技術的な面白さがすごくあったと思うんですが、15年経って今度はAIが現れてまた大きな波が来ているのは、ある意味同じだなと思っていて。それに今後どう向き合っていくか考えなくてはいけないし、また新しくチャレンジするタイミングなんだろうなと思ってますね。
ただ当時と違うのは、昔は新しい技術を面白いと思ってやっていたのが、いまはちょっとビビってるみたいなところはあるかな…。
美馬
それはなんとなくの漠然としたビビりなのか、ハイジの事業が「この先危うい」みたいなビビリなのか、何かもっと個人的なビビりなのか、どれなんですか?
長尾
2つ目の話ですね。我々の仕事としていることが技術で代替されていくことになるので、ちゃんと対応していかないとな、と。
美馬
それでいうと、やっぱり考え方をアップデートする必要性に迫られてますよね。ここから先はAIありきで未来を考えて、考え方をアップデートしていかざるを得ないと思います。その方が絶対楽しくなるというのも分かっているし。実際面白いですよね、暇があったらもっとAIいじくりたいなとも思います。
長尾
個人的にはそうで、便利だしそれ自体はすごくいいんですけど…。仕事として考えたときに、今までクライアントが我々に相談してくれていたようなことがAIで作れるようになるので、ビジネスとしてどうしていくべきか、というのは考えないとなと思いますね。
蒲澤
自分で使っているとまだ微妙に痒いところに手が届かない部分とかこちらが色々やらないといけない部分とかもあって、そういう発展途上なものをどうやって業務に落とし込んで会社の強みにしていくかっていう強迫観念があるよね。
美馬
我々はやっぱり徹底的にユーザー視点・クライアント視点に立って考えるじゃないですか。だから自然とそういう「伴走する」という部分が前に出てきてしまって、その面では(AIとの付き合い方を)悩む部分もありますが、そうではなく自己中心的なクリエイター視点で考えるとやっぱりAIは面白いなと思うから、そのバランスを見つけられると良いのかもしれないですね。まずは作る側としてのアップデートがうまくできると、クライアント視点・ユーザー視点に立った時にどうするべきかという答え方が見えてくるんじゃないかなと思います。
長尾
今までのハイジはものの作り方や姿勢みたいなものでクライアントの信頼を得てきたかなと思ってるので、AIによって作ることが簡単になることで、その信頼関係が今まで通りにいかなくなるというか。「今後何をもって我々は信頼されていくのか」っていうところをAIありきで考えていくことが課題になるんだと思います。
蒲澤
今現在の状況で言うと、AIを使った制作のプロセスみたいなものをちゃんとお客さんに説明できる状態にしないといけないっていう不安があるかもしれないね。
長尾
そうですね、そういうところがやっぱり結構難しい。AIの癖みたいなものをカバーすることを売り物にすることもできるけれど、その用意をしている間にAIが進化してその癖がなくなっていくわけで、だから我々が頑張ってそこに適用しようとしてもあまり意味がない。もう少し上流の視点で考えないといけないですよね。
蒲澤
うん、将来的にはクライアントにAIを使った制作を提案できるようになりたいけど、どちらかというと今は、業務や制作のフローにうまく当てはめてみんなが使えるようになっていくのが必要で、それができるようになると一定の安心感は生まれるのかもしれないね。